あらすじ
井戸番兼修理職人のエリザは、縁談先の井戸を直すたび、泥のついた裾を理由に二度も婚約を断られた。三度目こそ優雅な令嬢を貫く――はずが、婚約者ゴーティエが点検用の桶座ごと宙づりに。鉄棒と予備綱を抱えて救助に走れば、屋敷では女中頭が彼女の「失点」を板に刻み始める。記録の嘘が明らかになっても、エリザは婚約と鍵を返し、自分の名で働く道を選ぶ。ところが最後の点検で、今度は彼女が井戸に取り残されてしまい――。救う側に慣れた令嬢と、生真面目に手順を覚えた青年が、「止め、回す、止め」の掛け声で互いの怖さを知っていくお話。