あらすじ

29歳の紗季は、ある日、自分の人生に「足りないもの」ばかりを考えていた。 結婚していないこと。恋人がいないこと。これから先、ひとりになってしまうかもしれないこと。 けれど、友人たちと話したり、自分の日常を振り返ったりするうちに、紗季は少しずつ気づいていく。 健康な家族がいて、兄弟がいて、何でも話せる友人がいる。 一緒に旅行へ行ったり、好きな舞台を観に行ったりできる人がいる。 家から近く、無理なく働ける仕事がある。 生活に必要なお金もあり、自分の好きなことに使える時間もある。 そして何より、以前の苦しい時期を越えて、今は穏やかな毎日を過ごせている。 それらは、誰かから突然与えられた幸せではなかった。 紗季自身が、時間をかけて選び、手放し、築き直してきた生活だった。 「私は、思っていたよりずっとたくさんのものを持っている」 そう気づいたとき、紗季は初めて、「持っていないもの」ではなく「すでに持っているもの」を大切にして生きてみようと思う。 恋愛や結婚も、今の幸せを埋めるために必要なものではない。 今ある穏やかな暮らしに、もし素敵な誰かが加わったら、それでいい。 そんなふうに、自分の人生を少し好きになっていく、29歳の女性の静かな再出発の物語。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/09/06
  • 現在の作品持っているもの