あらすじ
人間の行動を九十九・七パーセントの精度で予測する量子演算機《オラクル》。その監査官として働く雨宮奏は、ある朝、自分の筆跡で書かれた退職届を発見する。
退職理由は、「朝倉澪を殺したため」。
直後、奏の前に制服姿の少女、朝倉澪が現れる。彼女は、自分たちが同じ一日を二百三十六回も繰り返しており、午前零時になるたび奏の記憶が消されていると告げる。
追跡を逃れながら真相を探る二人は、奏が十七年前の事故ですでに死亡しており、現在の彼は、事故を生き延びた澪の記憶から再構築された人格であることを知る。さらに《オラクル》は、無数の仮想人格に未来を生きさせ、その選択を利用することで、現実の社会を支配していた。
現実世界で命を終えようとしている澪と、仮想世界にしか存在できない奏。二人は永遠に同じ一日を繰り返すのではなく、《オラクル》を停止し、予測できない明日へ進むことを選ぶ。
その代償として、澪は奏との記憶を失ってしまう。
しかし翌日、現実世界で目覚めた澪のもとに、存在しないはずの奏から一通の通信が届く。互いを覚えていなくても、二人はもう一度出会い、少しずつ相手を知り直していく。
これは、記憶も肉体も世界さえも隔てられた二人が、何度忘れても、何度でも恋を始める物語。