あらすじ
人の心は読めるのに、自分の恋心だけは読めなかった。
犯罪心理学者・神崎零。
人の言葉、表情、仕草から、その心の動きを分析することを得意とする男。
そんな彼が、三年前に出会った一人の女性――横田みお。
最初の印象は、最悪だった。
名刺の紙質を分析され、
講演中に時計を何回見たかまで指摘され、
みおは思った。
――この人、感じ悪い。
ところが、仕事を通して何度も顔を合わせるうちに、
二人の距離は少しずつ変わっていく。
人の心なら、いくらでも分析できる。
けれど、自分自身の心となると、なぜか神崎は鈍かった。
それを教えてくれたのは、
「君をずっと見ているからだ」
という、本人にとっては何気ない一言。
そして三年目。
神崎零は、ようやく気づく。
自分が彼女を「分析していた」のではない。
――ずっと、大切に思っていたのだと。
これは、事件を解決する話ではない。
人の心を分析する男が、
たった一人の女性を愛することを覚えていく、三年間の物語。
もちろん神崎零は、いたって真面目である。
……たぶん。
『食べ物の恨みは怖い』シリーズ、本編へと続く恋の前日譚。