あらすじ
聖女の結婚式に、同じ顔の花嫁が七人現れた。
書記のエナは、六人の仲間と交代で「聖女セレスティア」を演じてきた。病を診る者、兵を守る者、王宮で微笑む者。顔を隠す白紗の下で、それぞれの仕事も恋も、同じ聖女のものになっていた。
敵国の皇子と手紙を交わしていたのは、エナだ。
「妻になります」と答えたのは、彼と舞踏会で踊った親友リリアだった。
婚礼を止めたエナは、皇子や仲間たちと国境へ向かう。停戦の期限まで二十日。薬を待つ子供、失った家へ帰れない人。聖女として出した返事の先へ歩くうち、エナは、自分が消した村人の言葉と、皇子が焼いた橋に向き合うことになる。
リリアの恋を間違いだったことにはできない。
それでも、あの手紙への返事を、今度は自分で言いたい。
七人の花嫁から始まる、すれ違いの恋と、戦火のあとを生きる人々の物語。
全24章+終章・完結。