あらすじ
ウルグアイ・カボ・ポロニオを舞台にした20代30代女性向け国際恋愛の短編小説。
前後編で完結する読み切り作品です。
東京でイベント制作会社の進行管理をしている29歳のリサは、十日間の一人旅でウルグアイ東部、大西洋岸のカボ・ポロニオを訪れる。一般車の入れない砂丘の向こうにある集落には舗装道路も街灯もなく、夜になると聞こえるのは風と波、それから一定の間隔で海を掃く灯台の光だけだった。
到着初日の夕暮れ、リサは宿へ戻る暗い砂道で、足を止めて灯台を見ているウルグアイ人のアグスティンと出会う。彼は次の光が砂を照らす瞬間を待っていただけだった。それ以降、夕食のあとに二人で浜辺を歩き、「灯台の光がこちらを向いたら次へ進む」という小さな習慣ができる。
ところが数日後、リサはアグスティンが夜道を見るためではなく、自分との帰り道を少し長くするために、光を一回余分に待っていたことを知る。期限のある旅を「思い出」で終わらせるつもりだったリサと、思い出にする前に次を決めたいアグスティン。二人が選ぶのは、別れを避けることではなく、離れたあとにも続く具体的な一日である。