あらすじ
近頃帝国には、まことしやかな噂が流れている。
曰く、指には太さや色が様々な糸が結ばれていて、それは世間で言うところの『縁』というものであると。
縁を結べば、どんな二人も結ばれて晴れて夫婦になれるのだと。
そして今現在、この帝国内でそれを見ることができるのはこの花屋の主人の他には居ないという。
今日もまた一人、『ハナトキヤ』の扉を開く。
「人には誰しも運命の赤い糸が結ばれている、なんて言うけどね。俺はそれを否定する。運命だから出逢ったんじゃないんだよ。人と人が出逢って想い合う。その奇跡のような出来事を、人が運命と呼んでいるだけなんだ」
どんな未来が待っているかは分からない。
けれど、辛い道を共に行きたいと思う相手と出逢うのは。
きっと、何よりも幸運なことだろう。