あらすじ
大学で知り合った仁実と付き合い始めたばかりの「僕」。ある日、電車を乗り換えるホームで、迷子らしき小さな男の子に出会う。仁実が声をかけても、男の子は「迷子」と認めることも否定することもできず、曖昧な返事を返すだけだった。
その様子が、「僕」の中に眠っていた昔の記憶を呼び覚ます。六歳のころ、家族と出かけた帰りの電車で、僕は一人だけ取り残されてしまったことがあった――。当時のことを振り返りながら、「僕」は仁実にその話を打ち明け始める。
「迷子」という言葉では割り切れなかったあの日の出来事とは、いったい何だったのか。そして、大人になった今も消えない小さな違和感の正体とは。