あらすじ

大陸メモリアの村グランメルを、記憶ごと人を消し去るセピア色の霧が襲う。少年は幼馴染ミナと、種族不明の不思議な生き物オボエルに助けられ逃げ延びるが、混乱の中で自分自身の名前まで失っていたことに気づく。オボエルに「ノア」と仮の名を与えられた少年は、父の記憶と、自分が何者かを取り戻すため旅に出る。 記憶を消したい人々の町、死者を忘れられない村など、それぞれ異なる形で”記憶”と向き合う土地を巡るうち、口の悪い女盗賊リタも仲間に加わる。旅の中でノアは度々、正体不明の”声”に呼びかけられる。「また、お前か」——歴代のどこかで敗れた者の残滓らしきそれは、ノア自身も知らない”何か”を彼の中に見ているようだった。 やがて明かされるノアの正体は、歴代の名もなき勇者たちの記憶から生まれた存在。だから最初から「本当の名前」を持っていなかった。世界を覆う霧を生んだ大魔王ネフィリムもまた、歴代魔王たちの「倒された悪」としての怨念の集合体であり、相棒オボエルには、その怨念を生み出した過去への隠された罪があった。 三者の関係が明らかになった先の最終決戦で、ノアはネフィリムを赦しはせず、しかし敵として物語から消し去りもしない。「お前のことまで消して終わりにはしない」——勝者としてではなく、敗者の記憶を初めて背負う勇者として、少年は自分の名前を、そして本当の意味での”記憶される”ということを、旅の果てに知る。

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小説を読もう2026/09/06
  • 現在の作品『忘れられた魔王は、勇者を覚えている』 〜名前を失った少年と、世界から消えた記憶を辿る旅〜