あらすじ
五年間の献身は、たった一言で紙屑となった。 誰かの役に立つことだけが、生きる意味だった。 自分の感情を殺し、相手を支え続ける日々を疑わなかった。
だが婚約者は、愛する別の女性のために特権席を譲れと求めてきた。 完璧なお前には愛など不要だと、悪びれもせずに告げられた。
その傲慢な言葉が、張り詰めていた心の糸を静かに断ち切った。
怒鳴ることも、泣いて慈悲を乞うこともしなかった。 ただ冷ややかに、相手の人生から自らを完全に消し去る道を選んだ。
無償で支え続けていたすべての恩恵を、跡形もなく引き払っていく。
当たり前だった庇護を失った男は、いつ己の愚かさに気づくのか。 自らの誇りを取り戻した女性の前に、どのような未来が待つのか。
二度と戻らない温もりを自ら捨てた者が、暗闇の果てに見るものは何か。