あらすじ
——《ミラージュ》。それはこの世界に存在する異能の力。人間の願望が歪んで出力されたそれは、やがて能力者そのものを蝕み、全く別の知性体《ミラージュマン》として分離した後に、かつて自らの宿主だった人間を滅ぼすという。
そんな世界に、一人の特異点がいた。かつて自らの基底たる価値観——即ち、その身に宿す「普通」という定規を壊され、自らのアイデンティティすらも否定することになった《ミラージュマン》、七篠白虹である。
彼は《ミラージュ》という存在の秘匿を目的に暗躍する組織《幻想連合》に身柄を保護され、他者の異能=アイデンティティを借りる、銃の形をした人工の異能・《メモリア》をその身に紐づけられた体となった。なんでも屋としてイロモノ揃いな《幻想連合》構成員たちの依頼を捌き続ける彼だったが、ある日連合の最高議会・《エクスピアシオ》の一人が彼の元を訪ねる……。
これは、名無し同然になった七篠白虹が、他人の「普通」を通じて自らにとっての「普通」を探す物語。そして同時に、自分の受け入れられない「普通」を、ひっそりと駆逐する物語。「普通」を失った青年は、異能を借りる銃を片手に人間世界で異論を制すのだ。