あらすじ

人は、忘れたからといって、本当に失ったわけではない。 ――そう信じている。 近未来。 脳に接続されたその装置によって、人は自らの記憶を“もう一度体験する”ことができるようになった。 そんな時代に生まれたのが、「回想士」という仕事だった。 回想士は、依頼人とともにその人の記憶へ入り込み、失われた思い出を探し出す。 「昨日、家の鍵をどこに置いたか思い出せない」 「亡くなった父が、最後になんと言ったのか知りたい」 「昔、大切な人と何か約束したはずなのに、それだけが思い出せない」 依頼は、どれも些細なものに見えた。 けれど、人の記憶は不思議だ。 楽しかった一日が数分で過ぎ去ることもあれば、 たった一言のために、何年も前の時間が永遠のように続くこともある。 そして―― 忘れられた記憶の奥には、ときどき「本来そこにあるはずのないもの」が存在する。 回想士として働く主人公は、いくつもの依頼をこなすうちに、ある奇妙な事実に気づき始める。 別々の人間の記憶の中に、 なぜか自分自身が存在しているのだ。 それは、主人公がまだ生まれていないはずの過去にも――。 忘れたものを探す仕事が、 やがて自分自身の失われた記憶を辿る旅へと変わっていく。 これは、 誰かの「忘れもの」を探す物語。 そして―― 最後には、きっと自分自身の忘れものを探す物語になる。

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カクヨム
カクヨム2026/09/06
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