あらすじ
人類は、《CROWN》という祝福を手に入れた。
誰もが頭部にヘッドホン型装置《ECHO CROWN》を身につけ、その恩恵を当たり前に享受する時代。
少女・刹那もまた、それを疑ったことなど一度もなかった。
――自分の《CROWN》に、異常が起こるまでは。
一瞬だけ反転する光。宙に浮く学生証。逆行する時間。
突如として溢れ出す、知らないはずの記憶と、身体が勝手に反応する見覚えのない「戦い」の感覚。
混乱する刹那の裏で、《CROWN》による支配を否定する組織《母なる大地》が蠢き始める。
そして地下深く――謎の施設《CLÔTURE》には、漆黒の鳥籠に閉じ込められ、外の世界も、寒さも、花さえも知らない少女・アンジュの姿があった。
刹那は知らない。
アンジュも知らない。
けれど――互いだけを、確かに“覚えている”。
《CROWN》とは何なのか。
刹那の中に眠る記憶は、一体誰のものなのか。
千年を越えた記憶と想いが、世界の常識を覆していく――近未来ディストピアSF!
【ECHO CROWN】
全ての人間は生まれた瞬間、“祝福”の恩恵を受けるため、《祝環庁》の職員によってヘッドホン型装置《ECHO CROWN》を装着される。
頭部に着用する装置で、現代ではファッションアイテムとしても生活に定着している。
国民には「健康を守るための装置」として普及しており、日々のわずかな体調変化から、がんなどの重篤な病気の早期発見までを担う。
そのため多くの人々にとって、入浴時や就寝時を除いて外すことなど考えられないほど、身近で不可欠な存在となっている。
《BLACK CROWN》《WHITE CROWN》の2色が存在し、どちらを着用するかは出生時に《祝環庁》の職員によって決められる。
【主要登場人物】
・刹那(せつな)
21歳の女子大学生。明るく楽観的で、おしゃれが大好きな少女。少々怖がりで調子のいいところもあるが、自分が「許せない」と思ったことには決して目を逸らさない。
《BLACK CROWN》を身につけ、ごく普通の日常を送っていたはずが、ある日を境に“知らない記憶”を見るようになる。
さらに初めてのはずの戦いで、本人にも覚えのない動きで攻撃をかわしてしまう。
――彼女の中に眠る記憶は、一体誰のものなのか。
・アンジュ
地下深くの施設《CLÔTURE》にある、漆黒の鳥籠の中で暮らす少女。推定年齢16歳。
外の世界をほとんど知らず、「寒さ」や「花」といった当たり前のことにも無邪気に疑問を抱く、純粋で好奇心旺盛な性格。
そんな彼女は、ある日初めて鳥籠の外へと足を踏み出す。
――なぜアンジュは、鳥籠の中に閉じ込められていたのか。
・エヴァ
21歳の女子大学生。
クールで面倒見のいい、刹那の親友。《BLACK CROWN》を着用。美人でモテる。
その一方で《ECHO CROWN》による支配を否定する組織《母なる大地》に所属し、リーダーであるイブから指示を受けて行動している。
冷静に見えて感情的になることもあり、時に組織の思惑とは異なる行動を見せる。
――彼女が刹那のそばにいるのは、“任務”なのか。それとも本当の友情なのか。
・イブ
《ECHO CROWN》による支配を否定する組織《母なる大地》を率いる、カリスマ的な人物。
推定年齢23歳。
《WHITE CROWN》を着用。
冷徹で容赦のない言動で能力者たちを従え、自らも謎めいた「大地の力」を操る。
エヴァからは一度だけ、なぜか「アダム」と呼ばれている。
――《CROWN》について、そしてこの世界について、イブは一体何を知っているのか。
・魅心(みこ)
政府機関《祝環庁》に所属する、真面目で冷静な21歳の女性。
《WHITE CROWN》を着用。
謎の施設《CLÔTURE》でアンジュを管理し、巨大な鳥籠の中で彼女の生活を監視している。
アンジュを気遣うような一面を見せる一方、その行動にはどこか不穏なものが付きまとう。
――魅心は、なぜアンジュを鳥籠に閉じ込めているのか。
・にこ
《国家特別公安庁》に所属する19歳の女性。《WHITE CROWN》を着用。
《母なる大地》への対テロ任務のため編成された特別組織のメンバー。八重歯が特徴的で、軽口の多い楽観的な性格。緊張感のある任務とは裏腹に仕事をサボることもあり、いつも飄々としている。
・レイム
《CLÔTURE》でアンジュの世話をしている。穏やかで面倒見がよく、中性的な見た目だが21歳の生粋の女性。《BLACK CROWN》を着用。
外の世界を知らないアンジュに優しく寄り添い、姉のように慕われている。アンジュを大切に想うあまり、ついには彼女の足枷を外し、禁じられていた鳥籠の外へと連れ出してしまう。
――それほどアンジュを想うレイムは、なぜこれまで彼女を鳥籠の中に留めていたのか。
・セイ
《WHITE CROWN》を着用する、《瞬間移動》の能力者。
八重歯の覗く軽薄な笑顔と、掴みどころのない飄々とした態度が特徴。初対面のエヴァにも「エヴァたん♡」と馴れ馴れしく接する。《母なる大地》について何かを知っているようで、自らイブたちへ接触してきた謎の男。
――彼は一体、何者なのか。
・刻(トキ)
―――???