あらすじ
手の中には、あの日と同じ帳簿。継母が改竄し、婚約者が隠蔽し、王家が受け取った――私を殺した金の流れが、まだ始まったばかりの姿でそこにある。
剣は持てない。魔法も使えない。
けれど私には、数字が読める。
イレーネは静かに筆を執る。証拠を積み、逃げ道を塞ぎ、彼らが自ら崩れ落ちるその日まで。
そして彼女の帳簿を見て、ただ一人「見事だ」と言った男――王国財務監査卿ジークベルト・アーレンス公爵だけが、隣に立つことを許される。
今度こそ、弟を死なせない。
今度こそ、全員に払わせる。
これは、剣を持たない令嬢が帳簿一冊で王家を裁く、断罪と溺愛の物語。