あらすじ

天城市で起きた、車椅子の男性の駅転落事故。警察は「事故」と処理するが、現場に居合わせた車椅子ユーザー・戸田大輔だけは、ホームのわずかな傾斜に不自然さを感じ取る。 同じ頃、視覚障がいのある森下花は、事故前夜に駅で「聞いたことのない機械音」を耳にしていた。さらに、聴覚障がいのある久保海は、監視カメラの記録に十二分間の不可解な空白を発見する。 一件ずつはただの不運な事故に見える。だが、健常者には気づけない、あまりに些細な"ずれ"――傾斜、音、時間の齟齬――だけが、静かにこの街の異常を告げていた。 大輔たちは、それぞれの感覚を頼りに、点と点を繋ぎ始める。やがて浮かび上がるのは、三十年前に忽然と姿を消した一人の少女と、今は再開発に沸くこの街の"未来予想図"に隠された、消せない過去だった。 見えるはずのないものを見た者たちが、聞こえるはずのない声を聞いた者たちが、この街の本当の顔を暴いていく。 しかし、彼らが辿り着いた真相の、さらにその先には――誰も予想しなかった、もう一つの真実が待っている。 健常者には、見えなかった。彼らには、見えていた。だが、それだけでは終わらない。 社会派ミステリーの傑作、ここに開幕。

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小説を読もう2026/09/06
  • 現在の作品『十三時十二分』 健常者は知らない