あらすじ
就活に失敗し、気がつけば異世界にいた久世直人、二十二歳。
剣の才能なし。魔法も使えない。
彼が手に入れた唯一の能力は、人間の名前や職業、所持品などが見える《審査》だった。
どう考えても外れ能力。
そう思っていた直人は、ひょんなことから王国の国境審査官として働くことになる。
そして勤務二日目。
国境に現れたのは、世界を救う英雄として知られる勇者カイル・ヴァレンタイン。
当然、誰もが彼を通そうとする。
しかし、直人にだけ見えていた。
《実際の渡航目的:アルセリア国王エドガー三世の殺害》
「勇者様。申し訳ありませんが、あなたをこの国に入れることはできません」
その一言で、直人の人生は一変する。
勇者を追い返した罪で拘束され、王都へ送られることになったその夜。
牢獄にいた直人のもとへ、一通の手紙が届く。
差出人は――人類最大の敵であるはずの「魔王」。
『貴殿を、我が国の入国管理局長として招聘したい』
勇者を入国拒否した新人審査官と、彼を拾った魔王。
やがて直人の《審査》は、勇者の秘密だけでなく、人間と魔族が争い続けてきたこの世界そのものに隠された「嘘」を暴いていく。
これは剣も魔法も使えない一人の男が、国境から世界をひっくり返していく物語。