あらすじ

あらすじ 長崎県佐世保市に暮らす女子高生3人組・陽葵、葵、咲良。夏休みのある日、ショッピングモールのくじ引きで「沖縄2泊3日ペア+1名招待」の特賞を当てた3人は、浮かれた気分で南国へと旅立つ。 しかし旅の初日の夜、3人は揃って同じ「夢」を見る。それは1945年6月28日、佐世保大空襲の夜――防空壕の中で身を寄せ合う「ヒサ」「ミツ」「サヨ」という少女たちの記憶だった。将来の夢を語り合った直後に襲った爆撃で、3人は手を握り合ったまま命を落とす。目覚めた3人は、それが前世の記憶であったことに気づき、涙する。 翌日訪れたひめゆりの塔で、戦争の理不尽さを肌で感じた3人。そして旅の最終日、首里城を望む丘の上で、前世で叶えられなかった夢を今度こそ現実にすると誓い合う――CA、保育士、獣医師。それぞれの夢は、80年前に断たれた願いの続きだった。 平和な時代に生まれた「当たり前」の幸福の尊さを、3人の少女の絆を通して描く感動の一編。 登場人物 陽葵(ひまり) — 高校1年生・16歳。3人組のまとめ役的存在。前世は「ヒサ」。傷ついた野良猫を助けた記憶から、命を救う仕事——獣医師を志す。「命に優劣なんてない」という信念の持ち主。 葵(あおい) — 高校1年生・16歳。行動力があり、物怖じしない性格。前世は「ミツ」。戦時中は「外国に行くなんて非国民」と抑圧されていたが、現世では自分の翼で世界中の空を飛びたいとCA(客室乗務員)を志望。 咲良(さくら) — 高校1年生・16歳。優しく涙もろい、繊細な感受性の持ち主。前世は「サヨ」。戦時中、子供たちが竹槍を持たされ「お国のために死ぬ」教育をされていた記憶から、子供の笑顔を守る保育士を目指す。 この作品の魅力 「くじ引き」から「前世の記憶」への鮮やかな転調 — 何気ない日常の幸運が、80年前の悲劇と接続する構成の巧みさ。 戦争の記憶を「自分ごと」として描く仕掛け — 修学旅行や資料館が「遠い昔の出来事」から「自分たちの体験」に変わる瞬間を、読者にも追体験させる。 具体的な体験に根差した将来の夢 — 抽象的な「平和への祈り」で終わらせず、猫を助けた記憶、竹槍教育への怒りなど、個々の経験から夢を立ち上げている説得力。 佐世保・沖縄・ひめゆりという土地の記憶の重層性 — 空襲、地上戦、そして今の観光地としての沖縄——複数の歴史の層を旅の中に織り込んでいる。

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カクヨム
カクヨム2026/09/05
  • 現在の作品『親友との再会』 〜今度こそ夢を叶えようね〜