あらすじ
「面白きこともなき世を、面白く――」
幕末の長州に、一人の型破りな若者がいた。
その名は、高杉晋作。
名門武士の家に生まれながら身分の壁を嫌い、師・吉田松陰から「狂」の精神を受け継いだ晋作は、激動する日本を駆け抜けてゆく。
黒船来航。松下村塾。上海渡航。攘夷。そして、奇兵隊の創設――。
武士だけではない。百姓も町人も、国を守ろうとする者なら共に戦えばいい。
常識に縛られない晋作の生き方は多くの若者を惹きつける一方、長州を危険な賭けへと導いていく。
やがて京都では、池田屋事件、禁門の変によって仲間たちが次々と倒れ、長州は朝敵へと転落。藩内では幕府への恭順を求める声が支配し、晋作自身も追われる身となる。
仲間は少ない。敵はあまりにも多い。
それでも晋作は笑う。
――ならば、ひっくり返せばいい。
功山寺でわずかな同志と挙兵し、藩そのものを覆した晋作。その先で坂本龍馬、桂小五郎らと時代を動かし、長州はついに幕府軍と激突する。
しかし、新しい日本が見え始めた時、晋作の身体は病に蝕まれていた。
誰かの敵は、誰かの大切な友だった。
常識を壊し、時代を駆け抜け、それでも未来だけは見届けられなかった若き革命児・高杉晋作。
これは、わずか二十七年で時代をひっくり返した男の物語。