あらすじ
母の葬儀から三日後、真帆は実家の遺品整理中に、一九九四年の古いカレンダーを見つける。
十二月の後ろには、母が自分で貼り足した一枚の紙があった。
そこに書かれていたのは――「十三月」。
日付は一日だけ。
さらに、満月の夜、若い母と幼い真帆、そして真帆の知らない女性が写った写真が貼られていた。
写真の裏には、
「家族を一人、戻した夜」
という母の文字。
調べていくうち、真帆は母に「遼子」という妹がいたことを知る。しかし遼子は、真帆の父が亡くなった三十二年前の事故を境に、家族の記録から完全に消されていた。
一方、母が残した三十年以上分のカレンダーには、毎年最後の満月の夜だけ「十三月」が存在していた。
それは、家族と呼べなくなった人を、一晩だけ家族に戻すための月。
なぜ母は妹を消したのか。
父の事故の日、本当は何があったのか。
遼子を訪ねた真帆は、これまで信じてきた母の姿を覆す真実を知らされる。
そして母が最後の「十三月」に戻してほしいと願った人物の名前を知ったとき、真帆は問われる。
人は、許せない家族を、家族のまま覚えていられるのか。
これは、十二か月のどこにも置けなかった人たちのための、存在しない一か月をめぐる物語。