あらすじ
帝国の第六皇子、カイル 十八歳。
皇位にも権力にも興味はなく、望むのはただ、面倒ごととは無縁の穏やかな暮らしだけ。
しかし兄からの嫌がらせによって、魔物が跋扈し、ろくに開拓もされていない帝国の僻地へと追いやられてしまう。
「まあ、帝都から離れられるなら悪くないか」
そう考えたカイルが、新たな領地へ向かう前に護衛として選んだのは、奴隷市場にいた一人のエルフだった。
銀髪に翡翠の瞳を持つ弓使い――フィオナ。
長く虐げられてきた彼女は、人を信じることを忘れ、自分の価値は「役に立つこと」だけだと思い込んでいた。
そんなフィオナを、カイルは護衛として迎え入れる。
荒れ果てた土地。
次々と襲い来る魔物。
皇位争いから送り込まれる刺客。
穏やかに暮らしたいだけなのに、カイルの周囲には次々と面倒ごとが舞い込んでくる。
それでも二人は、少しずつ土地を拓き、人々と出会い、自分たちの居場所を作っていく。
自由を持て余していた皇子と、自由を奪われていたエルフ。
これは、そんな二人が互いを支えながら成長し――
やがて荒れ果てた辺境に、一輪の花を咲かせる物語。