あらすじ

「アンタの仕事は、経理でいうと消耗品だ」 俺、杉浦は二十年 大手クラン〈鉄白〉の装備係だった。ダンジョン攻略者の頂点に並ぶ十二の席――十二脚(じゅうにきゃく)。その十一席ぶんの靴を、俺が作り、直してきた。 けれど靴は消耗品だ。減れば捨てられる。作った人間も、同じ扱いだった。 クビになり、町の隅に靴屋を開いた。やることは変わらない。持ちこまれた靴の、かかとを一ミリ削るだけ。 それだけで、歩幅が変わる。歩幅が変われば、間合いが変わる。間合いが変われば――抜ける。 半年後。二十年動かなかった席次表が、動きはじめた。新しく席に着いた者は、全員うちの客だった。 一方、俺を切ったクランは、まだかかとのすり減った靴で歩いている。階段で足を滑らせ、新品に替えてまた滑り、席をひとつずつ落としていく。 ――残り、十一席。 俺は、何も知らない。今日も革を裁いている。 予約が十年先まで埋まっていることも、数えているのは客のほうだ。

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カクヨム
カクヨム2026/09/05
  • 現在の作品「追放された靴屋」のおっさん、靴のかかとを一ミリ削っただけなのに、人類最強が店の前に並び始めた 〜予約が十年埋まるまでの、「無自覚ざまぁ」〜