あらすじ
少年時代、川で溺れた幼い少年を救った景司は、「このことは誰にも言わないで」と頼まれ、秘密を守ることを約束する。そして少年は、「大きくなったら、人を助ける人になる」と誓った。それから五十年以上。故郷を離れた景司は、仕事や家庭を持つ中で、困っている人に黙って手を差し伸べる生き方を続けてきた。一方、救われた少年も郵便局員となり、老人や子どもたちに寄り添いながら、人の役に立つ人生を歩んでいた。やがて二人は故郷の川で再会する。互いが約束を守って生きてきたことを知った二人は、さらに歳月を重ね、大雨による災害や地域の活動を通して、優しさは一人から一人へ渡っていくものだと気づいていく。そして、かつて少年だった男が今度は次の世代の子どもたちへ、人を思いやる心を伝えていく。誰にも語られることのなかった小さな約束は、二人だけの秘密ではなく、未来へ流れ続ける優しさとなっていく。