あらすじ

「お前のように、三年間ただ祈るだけで何ひとつ起こせなかった女とは違う」

卒業式典で、王太子殿下はそう仰って、掌に金色の光を浮かべる男爵令嬢を選びましたわ。

ええ、わたくしは光りません。

王家の婚約者の背に刻まれる《守護聖印》——王都全域の魔物避け結界へ、夜ごと魔力を注ぐ紋様。派手な光を出さないのは、一滴も漏らさず結界へ注いでいるからですのよ。

わたくしの占い……いえ、わたくしの祈りが効いていると、何も起きませんの。そして何も起きないと、わたくしの三年は「何もしていない」ことになる。

承知いたしました。婚約破棄、お受けいたしますわ。

聖印は誓いの上に立つもの。破棄と共に、王家へお返しいたします。

——三日ほどかかりますけれど。

三日後の夜、城壁の外で、三百年ぶりに魔物が鳴きました。

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アルファポリス
アルファポリス2026/09/05
  • 現在の作品婚約破棄されましたので、聖印はお返しいたします