あらすじ
採用通知があれば、この会場から帰れる――らしい。
人と神が共に暮らす神無瀬市。短期の仕事を二十五年間続けてきた疑似神格・氷野透は、合同採用相談会で、また応募資格に届かなかった。
同じ建物で働いていても、雇用主が替われば、継続勤務の経験には数えられない。帰ろうとした透の前で、非常口が、古い待合室につながる。放送のたびに行き先を変える扉。外へ出た清掃員と、内定を持っているのに出られない参加者。「採用されれば帰れる」という噂のどこが間違っているのか。
透の異能は、開いている扉一枚を、三秒だけ閉じさせないこと。再び使うには一分かかる。足跡を十分間だけ光らせる河神巴、鍵の方角が分かる期柴航、鑑定士の久世紲代とともに、透は出口を探し始める。
扉を開ける力はない。それでも、通ってきた現場を覚えている。
三人の限られた異能と一人の鑑定士が、仕事の経験を持ち寄って挑む、怪異ミステリーと救出の物語。
全十五話、完結。