あらすじ

あらすじ 「地味なんだよ、お前」 勇者ゼロスにそう告げられ、ミレイユは追放された。 聖女という肩書きは、ただの飾り。三年間、彼女がしていたのは毒見役だった。 【完全味覚】——口にしたものの成分も、作った人間の感情までわかってしまうユニークスキル。攻撃もできない、回復もできない、外れスキル。 そのせいでミレイユは、食べ物が怖い。差し出される皿にはいつも、毒か、侮蔑か、苛立ちが混ざっていたから。 雨の中を七日歩き、たどり着いた国境の村。 黒い暖簾に「鬼龍」の二文字。 カウンターの奥に立っていたのは、見た瞬間に本能が「逃げろ」と叫ぶ、190cmの男だった。 「座れ。腹減ってんだろ」 震える手で口に運んだ一膳の飯には、何も入っていなかった。 毒も、嘘も、打算も。ただ「冷めないうちに食え」という、それだけが。 住み込みで働き始めた日々。無愛想な店主は毎日、同じことを聞く。 「今日、何が食いたい」 三年間、食べたいものを言えなかった彼女は、一度も答えられない。 そんなある日、村に押し入った男たちが、子供を蹴り飛ばした。 泣き声が響いた瞬間、店の奥から聞こえたのは——ライターを開閉する、小さな金属音。 村人は蒼白になって言った。 「出ちまった。死を呼ぶ四番が」 戦えない少女が、人ならざるものになった男を連れ戻すために差し出したのは、たった一粒の角砂糖だった。

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小説を読もう2026/09/05
  • 現在の作品毒見の聖女は追放されました ~辺境の村で、世界一怖い店主のごはんを食べています~