あらすじ
ベルクレイン侯爵家の長女セラフィナは、災厄に関わる未来を断片的に見る力を持っていた。
彼女は未来視によって馬車の事故や疫病、領地の凶作を未然に防ぎ、さらには婚約者である王太子レオナールの命まで何度も救ってきた。しかし、その力は家族から「不幸を呼び寄せる呪い」と忌み嫌われ、功績を認められることもなかった。
そんなある日、セラフィナは王太子と異母妹ミレイユの婚姻が、三年以内に国を戦争へ導く未来を見る。
国を守るために警告するセラフィナだったが、王太子は耳を貸さない。それどころか、妹の幸福を妨害した冷酷な女と決めつけられ、婚約を破棄されたうえに侯爵家から追放されてしまう。
すべてを失い、嵐の中へ放り出されたセラフィナ。
そんな彼女へ手を差し伸べたのは、「呪われた左手」を持つと噂される東部辺境伯ノア・エルグランだった。
「私の領地では、誰も貴女に未来を見ることを命じません」
初めて能力ではなく一人の人間として大切にされたセラフィナは、東部辺境領で新しい人生を歩み始める。未来視に頼らず、これまで培ってきた知識と判断力で領民を救い、ノアと力を合わせて魔物の森に隠された秘密へ立ち向かっていく。
やがて二人は互いに惹かれ合い、セラフィナは本当の愛と居場所を手に入れる。
一方、彼女を追放した侯爵家では、これまで回避されていた災厄が次々と発生。王太子とミレイユの身勝手な婚約によって、西方諸国との関係も悪化し、セラフィナが予言した戦争が現実へ近づいていた。
追い詰められた家族と王太子は、今さらセラフィナに戻ってきてほしいと要求する。
けれど、もう遅い。
彼女は侯爵家の災厄を回避するための道具でも、王太子を守るための予言者でもない。
これは未来を見る力によって利用され続けた令嬢が、自らの意思で人生を選び直し、愛する人とまだ見えない幸福な明日を築いていく物語。