あらすじ
コロンビア・カルタヘナを舞台にした20代30代女性向け国際恋愛の短編小説。
前後編で完結する読み切り作品です。
三十歳の日本人女性・カナは、会社を辞めたあと、大学時代から憧れていたスペイン語を学ぶため、一か月だけコロンビア北部の港町カルタヘナに滞在している。仕事を辞めたことを後悔してはいない。ただ、日本へ戻って何を始めるのかだけが決められない。
ある蒸し暑い夕暮れ、旧市街の小さな広場で、観光客向けの馬車に乗る順番をめぐって青年マテオと言葉を交わす。馬車に乗りたいわけではない二人は、人波を避けて城壁沿いを歩くことになった。
翌晩も、また翌晩も、偶然ではなくなる。二人は色鮮やかな木製バルコニーを数えながら旧市街を一周し、「十一個目まで来たら帰る」という奇妙な約束を作る。
だが十一個目に着いても、どちらも帰ろうと言わなくなったころ、カナはマテオがこの街に残るか、別の都市で新しい店を始めるか迷っていることを知る。
どちらかが相手の未来を決めるのではない。
最後に必要なのは、「ここに残るか」ではなく、十一個目を越えたあとも二人で歩くかどうかだった。
カルタヘナ旧市街はカリブ海に面した城壁都市で、花のあふれるバルコニー、城壁から望む夕日、馬車などが現在も街の代表的景観として紹介されています。歴史地区と要塞群は世界遺産です。