あらすじ
「ねえ、生と死の違いって、何だと思う?」
「時間、かな」
「どうして?」
「人は今この瞬間まで生きていて、次の瞬間には死んでいる。だったら、その一秒こそが、生と死の境界なんじゃない?」
――これは、そんな「境界」を曖昧にする魔法を生み出した、一人の少女の物語。
十五歳の少女、リエラ。
彼女には、誰にも知られていない秘密がある。
かつて大陸を震撼させた、伝説の魔女。
人々から「黄昏魔女」と呼ばれる存在こそ、彼女だった。
魔女とは、ただ強大な魔力を持つ者のことではない。
初めて魔法を生み出した「始原の魔女」から続く血を受け継ぐ、特別な家系。
しかし、その血が魔法の才能を約束するわけではない。
そしてリエラもまた、自らが「魔女」であることに、さほど興味を持っていなかった。
争いも、名誉も、権力もいらない。
彼女が望むのは、ただ静かに、面倒事とは無縁の日々を過ごすこと。
――けれど、そんな彼女の望みとは裏腹に、王立魔法学院への入学をきっかけとして、歯車は再び動き始める。
失われた魔女の血脈。
消えた「本当の魔女」たち。
そして、リエラ自身も知らない家族の過去。
これは、世界を救う英雄の物語ではない。
ただ静かに暮らしたい少女が、望まぬまま歴史の中心へと巻き込まれていく――
「黄昏魔女」リエラの物語。