あらすじ
「私には誰にも言えない趣味がある。――それを守るために、貴方と契約結婚をしたい」
貧しい男爵家の令嬢クララは、面識のない公爵令息オスカー・リューベルトから突然求婚された。
互いの生活に干渉せず、愛情も求めない契約結婚。
実家のためにその申し出を受け入れたクララには、誰にも知られてはいけない秘密があった。
平民の間で絶大な人気を誇る覆面作家、クラヴィス・クライン。
その正体こそ、クララだった。
貴族令嬢が娯楽小説を書くなど、知られれば醜聞になりかねない。
だから結婚後も、作家としての正体を隠し通すつもりだった。
――ところが、夫となったオスカーはクラヴィスの熱烈なファンだった。
普段は『氷の貴公子』と呼ばれる彼が、クラヴィスの話になると少年のように目を輝かせる。
「クラヴィス先生の作品は、どれも宝石のように素晴らしい」
――その作品を書いたのは、目の前にいる私です。
正体を明かすわけにはいかない。
けれど、好きな本について語り合ううちに、契約だけだった二人の距離は少しずつ近づいていく。
契約から始まった結婚は、やがて本物の愛へと変わっていく――。