あらすじ
〈この迷宮一帯は私有地なり〉。
冒険者であるエルドリックと仲間たちがいつものように地下迷宮へ向かうと、その入口に見慣れない看板が立てられていた。その迷宮がある土地が丸ごと買収されてしまったのだ。
買い主はアラリオンと名のる男で、かれは勝手に迷宮に入ることを禁じ、行き場を失くしたエルたちに奇妙な仕事を持ちかけてくる。自分のためにこの迷宮を攻略してほしいというのだ。しかも、その方法は冒険者たちの常識とはまるで違っていた。
測量士を雇う。
荷運びを置く。
治療師を同行させる。
補給路を作る。
未確認区域への独断侵入は禁止。
出発前には装備を点検し、撤退時刻を厳守する。
初め、エルドリックたちはとまどうが、「到達と制覇はべつだ」とうそぶくアラリオンのやり方は思わぬ効果を上げる。
世界一の冒険者を夢見る少年、迷宮を買った謎の男、そして、その名も残らない大勢の人間たち、さまざまな思惑が複雑に絡み合い、やがて迷宮攻略はその規模を拡大してゆく。
『迷宮買収』――これは、だれも攻略することができなかった巨大迷宮を、土地ごと買い上げ、組織の力で制覇してゆく「冒険」物語。