あらすじ
都内の有名美容室でようやくスタイリストデビューした俺。
そんな俺の最初の指名客になったのは、まだほとんど名前も知られていない駆け出しのモデルだった。
「私、もっと可愛くなれますか?」
「なれますよ。絶対」
ただ、その子に似合う髪を考えただけだった。
なのに俺が担当するようになってから彼女の仕事は少しずつ増えていく。
雑誌、広告、そして大きな仕事まで。
気づけば彼女は街を歩けば声をかけられるほどの人気モデルになっていた。
当然、もっと有名な美容師だって選べるようになった。
それなのに――
「次もお願いします」
「俺でいいんですか?」
「いいんじゃなくて、あなたがいいんです」
売れっ子になっても彼女が指名するのはなぜか俺だけ。
しかも最近、なんだか距離まで近くなっている気がする。
「あ……気持ちいいです」
肩をマッサージしていた俺の手が止まる。
「どうしました?」
「……なんでもないです」
仕事だ。これは仕事。
そのはずなんだけど。
これは、まだ何者でもない新人美容師と駆け出しモデルが一緒に売れて一緒に恋をしていく話。