あらすじ
起業したいという夢も、資金もある。
それなのに決断できないまま、会社員として三年もの時間を浪費していた男・神谷。
そんな彼が偶然出会ったのは、実務能力は完璧なのに、愛想も接待も苦手な元秘書・黒瀬だった。
事業計画、法務、経理、契約――。
神谷に足りないものを、黒瀬はすべて持っている。
一方の黒瀬に足りないのは、自分の能力を活かせる場所だった。
互いの強みと欠点が、あまりにも綺麗に噛み合っている。
ならば、一緒に会社を作ればいい。
そして黒瀬が提示したのは、さらに合理的な提案だった。
「会社を作るために、結婚しませんか?」
恋愛感情は必要なし。
目的は起業と、生活基盤の安定。
役割を明確にし、互いの利益のために夫婦になる――。
こうして始まったのは、恋からではなく契約から始まる結婚生活。
会社では、社長と秘書。
家では、夫と妻。
恋愛なんて非効率。
そう考えていたはずの二人だったが、仕事も生活も共有するうちに、その関係は少しずつ“契約”だけでは説明できなくなっていく。
これは、恋愛より先に会社を立ち上げた二人が、
夫婦になってから恋を知っていく、合理的で不器用な物語。