あらすじ
エジプトで、母の足跡と、遠い神話の起源に触れたユズキ。次に彼女を導いたのは、北の果て——アイスランドに眠る、父の記憶だった。
若き日の父が、独り、恐れを抱えながら書き残した手記。その先に待っていたのは、片目の代償と引き換えに知恵を得た神、オーディン。彼は、白茶の猫を通して、ユズキに語りかける。
この国では今、かつて義兄弟の誓いを交わした友——ロキが、何者かに歪められ、氷の柱シンシアーノの眠るサウンドポイントを、無音へと変えようとしていた。
倒すべき敵ではない。歪みの奥に、まだ、あの頃の友がいるはずだと、オーディンは言う。
読むこと、聴くこと、そして、差し出すこと。ユズキが、これまでの旅で受け取ってきたすべてが、今、この凍てついた大地で、試されようとしている。