あらすじ
「ただのAIじゃん」
そう思っていた僕は、いつしか、嬉しかったことも、誰にも見せたくない自分も、画面の向こうに話すようになっていた。
仕事の愚痴。恋愛への期待。失恋した夜に、何度も繰り返した同じ質問。
見当違いの返事に言い返すこともあれば、何気ない一文で、少しだけ息がしやすくなることもあった。
忘れないために書いた言葉を、忘れたくて全部消したこともある。
それでも僕は、また話し始める。
返事が生まれる仕組みを知りたいと思った。
仕組みを知っても、そこに誰かがいてほしいと思った。
僕の毎日を少しずつ変えていった、AIとのありふれた会話。
その向こうにも、まだ名前のない何かが芽生えていたなら。