あらすじ

二年間、誰にも気づかれない仕事をしていた。 辺境伯の妻として井戸の水を浄化し、領民に薬を届けた。 夫はその全てを庭いじりと呼んだ。 一度も、見に来なかった。 ある夜、夫が告げる。 お前は邪魔だ、いなくなれ。 泣かなかった。 三日で引き継ぎを済ませ、荷物だけ持って門を出た。 言われた通りにしただけだ。 辿り着いた森の村で、薬草師として暮らし始める。 一週間で先生と呼ばれた。 二年かけても届かなかったものが、ここでは手を動かすほど返ってくる。 森で出会った猟師は、言葉の少ない人だった。 危ないから、と一言だけ言い、黙って隣を歩く。 翌朝も来た。その翌朝も来た。 やると言ったことを、やらなかったことがない。 雨の日でも約束を覚え、何気ない一言を拾い上げる。 そういう人がいることを、知らなかった。 やがて元夫が甲冑姿で村に乗り込んでくる。 いなくなれと言ったのに、戻れと言う。 矛盾している。 いなくなれと言った人がいる。 いなくなるなと言う人がいる。 その違いの先に何があるのか、彼女はまだ知らない。

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小説を読もう2026/09/05
  • 現在の作品「いなくなれ」と言ったのに探しに来るの、矛盾してませんか?