あらすじ

婚約披露の宴の夜、私が心を込めて縫ったハンカチは、婚約者の手によって突き返された。 「そんなもの、必要ない」 続けて彼が口にしたのは、婚約破棄の宣言だった。 ――地味で、覇気がなくて、貴族令嬢らしくない。何百回と言われてきた言葉に、もう傷つくことすらできなかった。 それなら私は、誰かを喜ばせることだけを生きがいに、この森の外れで生きていこう。祖母が遺してくれた古い家で、薬草を育てながら。 そんな私の前に現れたのは、飾らない笑顔がまぶしい、素性を明かさない旅の青年だった。 「怪しい者じゃない。危なっかしくて見ていられなくてね」 何気ない親切に、いつものように何かを返そうとする私を、彼はどこか眩しそうに見つめてくる。 気づけば、彼の訪れを心待ちにしている自分がいた。 けれど、彼の正体は――ただの旅人などでは、決してなかった。 見返りを求めない優しさが、身分違いの恋を紡いでいく、じれったくも温かな溺愛ラブストーリー。

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カクヨム
カクヨム2026/09/05
  • 現在の作品地味令嬢の刺繍は、殿下の心まで縫い留める〜婚約破棄からはじまる、辺境スローライフ〜