あらすじ
王太子妃候補クラウディアは、六年間にわたり王宮の仕事を支えてきた。
外交使節の受け入れ。
慈善事業の予算確認。
王宮行事の日程調整。
警備や厨房との連携。
正式な役職ではない。
けれど、困った部署から相談されるたびに、彼女は問題を拾い上げてきた。
そんなクラウディアに、婚約者である王太子は繰り返し言う。
「君は何もしなくていい」
「余計なことをするな」
「黙って笑っていればいい」
ならば、その言葉通りにしよう。
クラウディアは、これまで無償で引き受けていた調整をすべてやめた。
すると。
歓迎晩餐会と叙勲式が同じ会場に重なり。
慈善基金から無駄な支出が増え。
外交使節への対応ミスまで発生する。
ようやく王太子は気づく。
王宮が何事もなく回っていたのは、「何もしていないはずの婚約者」が、誰にも見えないところで仕事をしていたからだった。
けれどクラウディアが取り戻したいのは、王太子からの評価だけではない。
ずっと「王太子妃になるもの」として生きてきた彼女が、初めて「自分は何になりたいのか」を選び直す物語。