あらすじ
「困ったな。この台詞、たぶん俺のだ」
歴史資料館で学芸員が死亡した。机に残されていたのは、本人の筆跡による一行の遺書。
――私は、死んでも恨みはありません。
水神の祟りが噂されるなか、刑事の藤原孝史だけが、その言葉に覚えがあった。
彼の前世は、平安時代初期の貴族・藤原高房。かつて美濃で、神の祟りを恐れず堤防修理に取り組んだ男である。
豪胆で少々おかしな先輩刑事と、証拠を大切にする冷静な女性刑事。千二百年前の記憶と現代の捜査が、一枚の紙に隠された真相へ迫る。
ユーモアと、人を守る仕事への思いを描いた、読み切り転生ミステリー。