あらすじ
六十八歳。
僕には、まだ二十八本の歯がある。
約三か月前、
僕はその二十八本に、
「信用」「資本」「人生のログ」という
立派な意味をつけて小説を書いた。
AIが出した言葉を見て、
「なるほどなあ」と思った。
そして今、
その小説を読み返してみた。
――つまらない。
文章は上手い。
意味もある。
でも、
そこに僕がいなかった。
昔、習字の先生に言われた。
「昔の字と今の字を、二枚並べてごらん」
ならば小説でもやってみよう。
約三か月前の僕と、
今の僕。
同じ二十八本を見て、
何が変わったのか。
「なるほどなあ」から、
「違う違う」へ。
これは、
AIと一緒に小説を書き始めた六十八歳の男が、
昔の自分の文章を消さずに並べ、
自分の言葉を探し直す物語。
成長したのか。
退化したのか。
答えは、
まだ書かない。