あらすじ
魔法があり、魔物がいて、迷宮がある世界――アストラ。
その大陸の片隅にある迷宮都市リゼルで、一人の少年が冒険者になる。
名前は、レオン。
十五歳。
平民。
特別な血筋なし。
卓越した剣技なし。
莫大な魔力もない。
冒険者として見れば、彼は間違いなく弱かった。
それでもレオンには、一つだけ奇妙な力があった。
《境界観測》。
物と物。
攻撃と防御。
魔法と魔力。
生と死。
世界に存在するあらゆるものの「境界」を、ほんの少しだけ見ることができる。
だが――
見えることと、理解できることは違う。
理解できることと、越えられることも違う。
最初は魔物一匹にすら苦戦した。
逃げることしかできない日もある。
仲間を守れないこともある。
何度剣を振っても届かない敵もいる。
それでも、失敗して、傷ついて、学んで。
一つずつ、自分にできることを増やしていく。
やがてレオンは、様々な仲間と出会う。
魔法を追い求める少女。
誰かを守ることに執着する戦士。
命を救うことを選んだ神官。
誰にも見つからない場所を生きてきた獣人。
そして、人の姿をした「竜」。
彼らもまた、それぞれの人生を生きている。
レオンがいなくても、世界は動く。
国では戦争が起こり、
街では誰かが店を開き、
誰かが恋をし、
誰かが別れ、
誰かが迷宮へ向かい、
誰かが帰ってこない。
そして世界のどこかでは、
誰にも知られない怪異が今日も生まれている。
迷宮の奥に眠る古代文明。
人間と魔族の境界。
神々が語らない世界の秘密。
そして――
世界そのものを「食べる」とされる、未知の存在。
これは、最弱の少年が最強になるだけの物語ではない。
強さとは何か。
人間とは何か。
生きるとは何か。
世界とは何なのか。
そして――
「限界を越える」とは、本当はどういうことなのか。
これは、終わりのない冒険の物語。
一人では届かない場所へ。
仲間とともに。
世界の境界の、その向こう側へ。