あらすじ
ヴァレンタイン帝国の皇位継承者であり、帝国最強と謳われる姫騎士リーズレット。彼女は剣闘試合で「自分に勝った者と結婚する」と宣言し、四年間無敗を貫いてきた。
五年目の挑戦者は、東の島国から流れてきた旅人タクミ。
彼は最強の宝刀を持っていたが……剣の腕ではリーズレットに及ばない。だが彼は、見えない糸を操る不思議な技と口先だけで、帝国最強の姫を丸腰にしてみせた。
これは、剣で勝とうとしない男と、剣しか知らなかった姫が、策と弁舌と仲間を武器に、一つの国の形を変えていく物語。
一度の戦いで互いに見えない糸で結ばれた二人であったが、婚姻の条件として皇帝が突きつけたのは、大樹海の蛮族討伐だった。
厄介払いの、体のいい死地である。
だが辺境で二人が見たのは、蛮族などではなかった。首に枷を嵌められ、肌に番号を焼かれた獣人たち。そして彼らを「人間ではない」と言い張る、たった一行の法の穴。
剣では、この敵は斬れない。
姫騎士と異国の王子が、やがて手に入れるものは、いったい何か。