あらすじ
「お姉様の婚約者が好きなの」
妹リリアからそう告げられた翌日、クローデル伯爵家の長女アデラインは両親から婚約者を妹へ譲るよう求められる。
昔から同じだった。
妹が欲しがり、姉が譲る。
なぜならアデラインは「しっかり者のお姉様」だから。
今回もアデラインは素直に了承した。
ただし。
「婚約者はリリアに譲ります。では、家督もリリアへ」
次期当主として十五歳から領地経営を学び、家業を支えてきたアデライン。
婚約者は妹へ。
しかし家を継ぐ責任だけは姉のまま。
そんな都合のいい話を受け入れることを、彼女はやめた。
ところが実際に次期当主の仕事を経験したリリアは、初めて姉が背負ってきたものを知る。
「私、ユリウス様が欲しかっただけなの。お姉様の人生が欲しかったわけじゃない」
婚約者を巡って争うはずだった姉妹が気づいたのは、互いこそが本当の敵ではなかったということ。
ずっと「譲る姉」だった女性と、ずっと「与えられる妹」だった女性が、それぞれ自分で人生を選び直す物語。