あらすじ
あらすじ
少し先の日本。
政府は少子化対策として、AIが結婚相手との「適合率」を算出する制度《MUSUBI》を導入した。
電子部品メーカーで働く宮本拓也は、半信半疑でMUSUBIに登録し、適合率99.8%の佐倉美月と出会う。
会話、価値観、そして身体の相性まで――AIのデータは驚くほど当たっていた。
二人は恋に落ち、結婚し、やがて家族になる。
しかし、生活や経験によって適合率は変化していく。
過去の恋人、夫婦生活、子育て、そして「今の妻より相性のいい相手」。
知ることのできなかった数字まで知るようになった時、それまで存在しなかった迷いや感情が生まれていく。
やがてAIによる適合支援は、結婚だけでなく、進学、就職、住宅、そして社会の意思決定へと広がっていく。
AIは命令しない。選択肢と、そのデータを示すだけ。
最後に決めるのは、いつだって人間だ。
登場人物
【宮本拓也】
物語の主人公。30歳。電子部品メーカー勤務。
人との距離を縮めるのが苦手で、MUSUBIにも当初は懐疑的だった。しかし適合率99.8%の美月と出会い、AIの予測が実際に当たる経験を重ねたことで、次第にその数字を無視できなくなっていく。
【佐倉美月/宮本美月】
拓也がMUSUBIで出会う女性。28歳。
拓也との適合率は99.8%。互いに気を遣いすぎるところや人との距離感など、多くの価値観が一致する。拓也と恋愛、結婚、子育てを経験しながら、「知ること」と「知らないこと」の間で揺れる。
【宮本陽菜】
拓也と美月の娘。
MUSUBIが当たり前に存在する社会で育った世代。両親とは違い、AIによる適合率を特別なものとは考えていない。やがて自分の進路をめぐり、「本人にとっての最適」と「家族にとっての最適」の違いに直面する。
【高橋香織】
美月の親友。
宮本家とも親しく、拓也にとっても気心の知れた友人。ある時、現在の拓也との適合率が99.83%、身体的・性的適合率が99.7%だと判明する。それまで何とも思っていなかった二人に、「数字を知ってしまったこと」による変化が生まれる。
【吉岡】
拓也の同僚。
MUSUBIを気軽に捉え、拓也とは対照的な立場から物事を見る。時に無責任にも聞こえる率直な言葉が、拓也自身の考えを浮き彫りにしていく。