あらすじ
ごく普通の会社員だった青年は、ある日突然、見知らぬ異世界へと転生してしまう。
しかも転生した先は、王国でも名高いアーデルハイト公爵家の嫡男――ルシェル・アーデルハイト。
貴族、魔法、王城、そして豪華な暮らし。
夢にまで見た異世界生活が始まる……と思った矢先、彼を待っていたのは、とんでもない事実だった。
「あなたとの婚約を破棄していただきたいのです」
ルシェルの婚約者は、王国一の才女と名高い公爵令嬢、エルネシア・フォン・ヴァルクレイヴ。
美しい赤髪と青い瞳を持ち、冷静沈着な彼女は、周囲から『氷の薔薇』と呼ばれるほどの高嶺の花。
しかも、どうやら転生前のルシェルは彼女に散々ちょっかいを出していたらしい。
ところが、記憶を失ったルシェルの態度が以前とは一変。
「嫌なら婚約破棄すればいいんじゃない?」
そう言われたエルネシアは、なぜか顔を真っ赤にして――
「……嫌です」
「え?」
「やっぱり、婚約破棄はしません!」
どうやら彼女は、ルシェルのことが本当に嫌いだったわけではないらしい。
「勘違いしないでください。あなたのことなんて好きではありません!」
そう言いながら、毎朝ルシェルの部屋を訪れ、
「今日は一緒に登校しますから」
と隣を歩く。
他の令嬢と話していれば露骨に機嫌を悪くし、
「別に嫉妬しているわけではありませんわ」
と言い張る。
氷のように冷たいはずの令嬢は、なぜかルシェルの前でだけ少しずつ素顔を見せ始める。
さらに学園では、王太子や個性豊かな令嬢たち、魔法使いの少女まで加わり、二人の関係はどんどん騒がしくなっていく。
異世界に転生した青年と、素直になれない美しき公爵令嬢。
これは――
婚約破棄から始まるはずだった、二人の甘くて騒がしい異世界ラブコメディ。