あらすじ
死んで五日目に左大臣へ戻された藤原魚名は、自分の免官に関する文書が焼かれるのを見ていた。名誉は戻った。何の罪に問われたのかは、とうとう分からなくなった。
それから千二百年あまり。中央官庁の企画官・藤原直哉として生まれ変わった彼に、またしても太宰府への異動が命じられる。四百八十億円の防災事業。その数字の細工を見つけた部下には、身に覚えのない顛末書が用意されていた。
採択まで、あと十日。前世の記憶を呼び覚ましたのは、かつて自分の席に座った一匹の狐。
今度こそ、記録を焼かせない。
ただし、守るべき記録には――自分が部下を見捨てた一行も含まれている。
奈良時代の元左大臣が、二度目の左遷で「仕える相手」を選び直す、歴史転生お仕事小説。