あらすじ
前章で鉄道の構想を固めたテオだったが、翌朝、フィッツジェラルド伯爵のもとへ向かう前に国王への緊急謁見を命じられる。古参貴族グレゴリーが、テオのこれまでの数々の失敗――宮廷を泡だらけにした一件、娘の髪を塔のように盛り上げた騒動、噴水に飛び込んだ靴磨きロボット――を並べ立て、「国家間の危機に、まだ子供のあの少年を頼るのはあまりに危険だ」と国王に強く訴える。マーリンや伯爵が擁護するも、失敗の実績は覆せず、国王は苦渋の末「大きな計画を進めるなら、まず安全性と実現性を証明せよ」という条件を課す。
謁見の後、テオ・リリー・伯爵の三人は伯爵の執務室に集まり、テオはついに鉄道のスケッチを伯爵に見せる。伯爵は興奮しつつも現実的な視点から、まず小さな試験区間で証明することを提案。地図を広げ、ジャスミンの国へのルートを検討する中で、王国と砂漠の国を隔てる山脈「灰色連峰」の存在が浮かび上がる。迂回すれば時間が稼げず、かといって人の手で山を貫くのは、過去の鉱山道の逸話からも非現実的と分かる。行き詰まったテオの脳裏に浮かんだのは、村で土魔法を磨き続ける弟アースの姿だった。「アースの力なら、もしかしたら」――久しぶりに弟に会いに行く決意を固めたところで、物語は王都を離れ、故郷の村へと舞台を移していく。