あらすじ
革命により、王国最後の王妃アニタはギロチン台へと送られた。
民衆の罵声を浴びながらも、彼女は堂々と微笑む。
――だけどアニタは、生まれながらの王妃ではなかった。
かつて彼女は、街の酒場で働く、ごく普通の少女。
そんなアニタの前に、ある日突然現れたのは、自由奔放で美しい少女ミレーチェだった。
「もし申し訳ないと思うなら、少しの間よろしくね」
そう言ってアニタに高級なローブを押し付け、自分を追ってきた兵士たちから逃げろと言い残して走り去った少女。
その正体は、なんと皇国の皇女様!?
自由を愛する皇女ミレーチェと、明るく優しい酒場の少女アニタ。
身分も、生まれも、住む世界も違う二人だったが、いつしか毎日のように語り合い、一緒に眠り、触れ合い――。
「ミリーって呼んで」
「……うん。ミリー」
気が付けば、アニタにとってミレーチェは、誰よりも大切な存在になっていた。
しかしミレーチェには、隣国の王太子との政略結婚という運命が待っていた。
そして五年後。
離れ離れになった大切な少女を忘れられず、アニタはミレーチェを追って王国へ渡る。
そこで待っていたのは、王太子妃となったミレーチェとの再会。
さらに背の高い女の子、後に王国兵士となる少女、そして未来でアニタを見送ることになる少女たちとも出会い、アニタの周囲は少しずつ賑やかになっていく。
女の子同士で笑って、じゃれ合って、抱きしめて。
時にはキスをして。
――けれど、誰も知らない。
この穏やかな日々の先で、王国が革命の炎に包まれることを。
そして。
本来なら殺されるはずだった王妃ミレーチェの代わりに――。
酒場の少女だったアニタが、王妃としてギロチン台に立つことを。
これは、一人の少女が大切な少女を愛した物語。
そして――。
愛した人を生かすため、少女が最後の王妃になるまでの百合物語。