あらすじ

見慣れない動植物が鬱蒼と広がる、人類未踏破の禁足地〈死の山脈〉。  おそらく四千年前から生命のうねりが脈打つその原生林に、若き植物学者の少女が、探索隊と共に新しい足跡を残していく。  高濃度の酸素。吸えば肺を焼く毒の大気。目に映るものすべてが未発見種で、少女のノートは書き込む余白を失っていく。  死と新発見が、隣り合わせだった。  束の間の高揚。その果てに、最も恐れていた事態と遭遇する。  ——それは、光の柱の袂に、静かに伏せていた。  急転直下。身を守る装具は壊れ、毒の大気が身体を蝕んでいく。  意識を失う直前、彼女の中に滑り込んできた感覚は。  出汁の匂いと、しゃがれ声だった。            ◆  目を覚ました彼女が見たものは、たんこぶを作って正座している龍と、その隣で呑気に煮物をつついている、一人の老人。 「げんこつを、ひとつな」  ——彼は、五千年前からそこにいた。  世界を滅ぼしかけた男の、五千年目の物語。

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カクヨム
カクヨム2026/09/04
  • 現在の作品円環のオズワルド