あらすじ
二十八歳で命を落とした男が次に目を覚ましたのは、見知らぬ森の中。
しかも、その身体は十歳ほどの少年になっていた。
自分が何者なのかも、ここがどこなのかも分からない。
森で魔物に襲われた少年は、偶然出会った子爵に救われ、持ち物に残されていた「アルベルト」という名前を手がかりに、新しい人生を歩み始める。
子爵家で暮らし、文字を覚え、働き、少しずつ居場所を得ていくアルベルト。
十三歳で判明した彼の属性は、戦闘では不遇とされる「土」だった。
だが、前世で現場作業員として働いていたアルベルトにとって、土は決して役に立たないものではない。
大地を割るような大魔法なんて必要ない。
必要なところを、必要な分だけ。
ほんの数センチ動かせれば、それでいい。
そんな小さな工夫と、何気なく選んだ行動が、やがて彼自身も知らないところで、人の運命を少しずつ変えていく。
これは、世界を救おうなどとは考えていなかった一人の少年が、
目の前の人たちと生きていった結果――
少しずつ世界を動かしていく物語。