あらすじ
土佐に生まれた坂本龍馬は、初めから英雄だったわけではない。
泣き虫で、不器用で、勉強も剣術も思うようにいかない。けれど龍馬には、誰かが傷つけば自分まで胸を痛め、自分のことより先に人を助けてしまう、誰よりも優しい心があった。
母や姉たちの愛に育まれながら、龍馬は土佐に残る苛烈な身分社会と、人の命さえ生まれによって軽んじられる現実を知る。
――大切な人を守れる男になりたい。
その願いから剣を握った少年は、何度倒れても立ち上がり、誰よりも稽古を重ねる。やがて、かつて彼を見下していた者たちの目が変わっていく。
江戸へ出た龍馬は北辰一刀流を学び、幕末屈指の剣士へ成長する。
しかし、強くなればなるほど龍馬は問い始める。
本当の強さとは、人を斬ることなのか。
黒船来航。武市半平太。岡田以蔵。脱藩。勝海舟。海軍操練所。亀山社中。高杉晋作。薩長盟約。寺田屋。海援隊。船中八策。大政奉還。
敵味方に分かれ、人が次々と死んでいく時代の中で、龍馬は最後まで「できるだけ人を死なせずに国を変える道」を探し続ける。
これは天才の物語ではない。
泣いて、負けて、悩んで、それでも昨日より一歩だけ前へ進もうとした青年の物語。
今の自分がどれほど駄目でも、努力すれば明日は変わるかもしれない。
勇気をもって一歩踏み出せば、道そのものを作れるかもしれない。
そして三十三年の生涯の果て、坂本龍馬が未来を生きる私たちへ残すものとは――。